《MUMEI》
足音
あのとき消しゴムを落としてしまったばかりに、僕はカンニングをしたと担任に間違われた。
普段は挙手して拾ってもらうものだったが、うっかり忘れてしまった。
会議室に呼び出され、先生に静かに責められた。
違うと訴えれば訴えるほど疑いの顔が深まる。
休み時間を使っても理解してもらえず、次の授業まで食い込んだ。
途中の授業に割って入って来た僕に皆が注目する。
先生には適当に理由を述べて座らせてもらう。
帰りのときすれ違う女子の一人がびくついた。
友達と話しているようである、その会話の中に
「…カンニング………」
という言葉があるのを聞き逃さなかった。
そう、僕に対するよそよそしさ、もしかしたら皆がそういうふうに僕を見ていたのかもしれない。
僕は何もやっていない。
叫んでやりたかった。
頭では考えても行動が伴わない。
次の日、僕の靴が男子トイレで発見された。
前へ
|次へ
作品目次へ
ケータイ小説検索へ
新規作家登録へ
ケータイ小説サイト!
(C)無銘文庫