《MUMEI》
始まり
山が赤く色づき、秋の気配が見え始めたこの頃。

なーんて、感傷的になるわけがないぜ。

「よっしゃー!今日もサボりまくるぞ!」

両腕をあげて叫ぶと、いつのまにか入って来たのか、担任が隣にいた。

「佐々木、お前いい度胸じゃねえか。先生である俺の前で宣言かぁ?」
「すんません」

しっかり頭を下げて謝っているのは佐々木 了。茶髪の髪が特徴のサボり魔。

「腕立て伏せ五十回」

そんな佐々木に残酷な言葉を投げかけた担任は、黒板の前に移動して、絶望したような顔をする佐々木を無視して言う。

「転校生、いるから。紹介するね」
「先生、イケメンですか?!」「美人ですか!?」

最後の言葉は佐々木のものだ。
「うるさい。美人とイケメンを足してニで割ったような男だ。喜べ。入れ、小城」

はい、とひかえめな声の次に教室に現れたのは、黒い髪の持ち主だった。ノンフレームの眼鏡が白い肌によく似合っていた。ざわ、と教室が一瞬ざわめいた。

「小城夕です。よろしくお願いします」
「というわけ。はい、よろしく。席はね、あの馬鹿のとなり」
そう指さしたのは、佐々木だった。

「馬鹿じゃありませーん。佐々木了です」
「お前の代名詞は馬鹿だ」

教師とは思えない台詞をいった担任を睨みつつ、佐々木は手を挙げる。

「小城、俺だ。ここ」

隣の空いた席を指差した。小城が頷いて指差した席に座った。
「俺、佐々木了。よろしく」

そういうと、小城がよろしくと小さく返事をかえした。
小さな声だな、と思った。透き通るような声だとも。



これが、出会いだ。あいつと俺の、出会いだ。

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