《MUMEI》

蓮翔ちゃんが試合前と変わらないくらいに、目を輝かせている。


「アメリカ、どうだった?!!」


「え?どうって……。

広かった…。」


「うん!」


「熱かった。」


「うんっ!」


「右側通行だった…。」

「うんうんっ!」


「ハンバーガーが半端無くデカかっ……」


「ちょっとまったぁ〜!
何やねんそれっ!

ぜんっぜんアメリカの話しになってないやんか!」


「すっげぇ!アメリカって、すっげぇ!!」


「…って、おい蓮翔ちゃん!

人の話聞いとんのかい!」


バシッと賢ちゃんが蓮翔の頭を叩く。


「別にいいんじゃねぇの?」


「けど……」


そう言ってチラッと蓮翔の顔を見た賢ちゃんは…

「マジかよ。」


驚いて目を見開いていた。


賢ちゃんの視線の先には、蓮翔ちゃんが一層目をキラキラとさせていたのだ。


「どうしてそこまでして、アメリカにごだわるん?」


惚けたまま、賢ちゃんが尋ねると、


「はあ?」


突然、蓮翔ちゃんがキレた。

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