《MUMEI》

 

「 こわい、 こわい……」



怖い……、
七生の存在が大きいから。

いつか飲み込まれる。

俺は臆病だ、
七生が好きになればなるほど、言葉に出来ない不安に怖くなる。


「 じろー……?」

七生に気付かれた。
震える心音に喰われてしまう……七生の両手が離れたら倒れてしまう。
でもこの音を止める為には七生の手が離れなけれいけならないんだ……





「   さわらないで  きらい……」

七生を傷付けるには、どんな暴力よりもこの言葉が一番効く。

きらい って、こわい って、言ったけれど

俺の
この胸の
高鳴りは
一体何なのか

俺は
嘘つきだ

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