《MUMEI》

(…何事も起きなければいいが…)

「尚?」
「ん?」

尚はしわ寄せをして、教師を見ていた。

「どうした?変な顔して」
「い、いやぁ…なんでもないよ」

そして、授業が始まった。

時間は進み、昼休み―

「宮!」
「何?秋谷…」

まだ宮は尚とは呼びづらいらしい…。

「実は…俺…龍也の両親に会いに行こうかと思っているんだ」
「へ?」

校舎には、庭がある。そこにベンチがあったので、二人はそこに座った。

「…俺達、将来は一緒に住みたいからさ…」

「そっか。じゃあ、ちょうど明日休みなんだから、行って来なさい」

宮は俺と古い仲で、なんでも知っている…もちろん、両親の事も。

「分かった、ありがとう!」

そして、学校は終わり、夜…―

俺は疲れていたので、ベッドの上で横たわっていた。

「…ハァ…疲れた…」

すると、唐突に携帯が鳴った。
気だるそうに俺は起き上がり、うるさい携帯を握り締めた。

「…はい。黒崎です」

「よお!龍也!」
「なんだ…尚か」
「なんだとは失礼な!…大事な話だから、今からそっちへ行ってもいい?」

真面目な声色だったので、俺は思わず身構えた。

「…あ、あぁ…そういう事なら」

そして、お茶を用意した。同時にインターホンが鳴る。

「…どうぞ」
ガチャリ…
「龍也…」

尚は重たい足取りで、居間に座った。

「明日…親に会いたい。お前の」
俺は飲んでいたお茶を思わず吹き出しそうになった!
「ぶっ!…お前なぁ!」
「いや、俺は本当だぜ」

キョトンとした顔で俺は尚を見る。

「龍也…俺と一緒に住みたくないの?」
「そ…そりゃあ…す、住みたい…けど…許してくれるかどうか」
「大丈夫!俺にはいい案がある」

思わずジト目をした。

「…ほう…どんな案か言ってご覧」
「それは明日」

そう言うと思った。

「じゃあ、明日は久々家に帰る事になるのか…ハァ…気が重い」

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