《MUMEI》

「もう店閉めるの?なら、私帰るね」
あまり長居をしても迷惑だと、ケーキを食べ終えると立ち上がって
出て行こうとした手首を何故か掴まれた
「……何よ?」
掴まれた手首に何故か胸が高鳴り
それでも努めて素気なく返せば
手の平に折りたたみの傘が押しつけられた
雨がまだ降っているのでこれを使えとの申し出に
高城は素直にソレを受け取っていた
「……ありがと」
「いえ。でも飽く迄貸すだけですよ」
「?」
念を押すような物言いに首をかしげる高城へ
相手の唇が耳の途へと近く寄る
「明日、返しに来て下さい。今日と、同じ時間に」
待ってます、と低音を呟かれ
高城は顔が赤くなっていくのを感じながら小さく頷いていた
「……良かった。じゃ、気を付けて」
心底嬉しそうな笑い顔に、高城は照れ益々顔が赤くなっていくそれを相手に気付かれない様慌てて傘をさすと走りだしていた
僅かに振り返れば、にこやかに手を振る相手の姿が視界の隅
向けられた笑みに、高城は小さく手を振り返すとそのまま帰路へと付いたのだった

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