《MUMEI》 龍っ!????? なんと、暗闇からのそりと剥いでて来たのは、とても大きな龍だったのだ! な、なんで……。 龍なんて架空の生き物の筈が……! 「固定観念だよ。」 低く、どっしりとした声が俺の脳内で木霊した。 「え…。 今…しゃべった?」 しかもまるで俺の声が聞こえたかのようだった。 「珍しいかい?」 今度は優しい感じの声色でそう言った。 見上げると、少し微笑んでいるようにも見える。 それにしても、物凄い大きさだ。 目は…野球球場ぐらいの大きさはあるだろう。 その顔は、測り知れない程だ。 それに、物凄い迫力だ。 しかし、自分が想像していた龍とはだいぶ違っていたので、これにも驚かされた。 さっきまでは見えなかったが、龍が俺とグレイドに近付いたので、多少はどんな姿をしているのかが今は分かる。 その龍には、翼は無く、背筋に沿って、尖った角みたいなものがびっしりと、生えていた。 全身は青白い鱗(ウロコ)に包まれていて、牙はあるものの、そこまで発達していない。 角も生えているが、鋭いと言うよりかは、珊瑚のような、赤色をした奇妙な角だった。 ただ、嘴(クチバシ)のような口元が印象的だった。 俺の想像していた、強そうな龍とは異なるが、さすがは龍だ。 何処か威厳ある雰囲気を醸し出している。 俺はどうして此所へ連れて来られたかも知らず、未だ心此所に非ず、と言った状態で、その場に突っ立っているのだったーーー 前へ |次へ |
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