《MUMEI》 「僕たちは悪いことをするわけじゃない。 昔は当たり前に見られたものを、自分で見たいだけさ。」 「うん。俺も見たいな、空。」 ネロはそう言い、寝転びながらそばに置いてある器の中のものを口に放り込んだ。 「空の見える所には…… …食ったことないうめえものがあるかもな!」 「うめえものって言えばさぁ。これ、結構イケるね。」 ネロが食べているものを自分も口にして言った。 「だろ!‘トビチョロ’だぜ。」 「……!!!」 トビチョロ――羽の生えた緑色のトカゲ――が頭の中をよぎり、凍り付くヴァイス。 「ほら、‘ムラサキイモムシ’を干したのもあるぜ。」 「……!!!!!!」 ネロが差し出す器に、それらしきものがあった。 親友の厚意を裏切るわけにはいかず、思いっきり口の中に頬張るヴァイス。 それを見たネロは… 「俺ん家まで来て一緒にメシ食ってくれるのは、ウ゛ァイスくらいだからなぁ」 ……そう言ってウ゛ァイスの顔と同じ色をしたムラサキイモムシに手を伸ばした……。 前へ |次へ |
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