《MUMEI》
寝坊
   〜歩視点〜


今日は朝早く起きるつもりだったのに〜!!

起きたらいつもと同じ時間ってどういうことだよっ!!


目覚ましに八つ当たりしながら、バタバタと学校に行く準備を済ませる。


焼いてない食パンを口にくわえ、家を出て自転車に跨り全力疾走で学校へ向かう。


麗羅チャンは当たり前にもう来てるだろうな・・・


他の人がまだ来てないといいんだけど。


そう。俺が早起きしたかったのには理由がある。


早く学校に行けば麗羅チャンと2人きりになれるから――。


それで爽やかに挨拶して色々話したりしてる内に、麗羅チャンも許してくれるんじゃないかなって思ったんだ・・・


教室のドアの前に着くと息を整えるため深呼吸をする・・・


麗羅チャン来てるかな?一応確認をしとこうと思いそ〜っと教室のドアを開ける。


・・・・・・・・・・・!?


え〜〜〜!!何でもう海が来てるんだよ!


あれ?もう一人誰か来てる。俺はその人物を確認するとそ〜っと教室のドアを閉めた。


北川 真星・・・・・・・。


教室に居るもう一人の人物の名前が頭に浮かぶ。


そして昨日、麗羅チャンに言われた言葉や麗羅チャンの冷たい態度が頭をよぎる。


俺は頭を横にフルフルと振って、昨日の出来事を頭から追い出す。


負けるな歩!!


そうだお前なら出来る!!


ほら教室に入って爽やかに挨拶するんだ歩!!


俺は握り拳を激しく振りながら自分を励ます。


でも、昨日みたいに冷たくされたら・・・


コラー歩!!弱気になるな!!


しっかりするんだ―!!


俺は自分の頬をバシバシ叩き気合いを入れる。


「何やってんだよ!歩!!」


すると教室から海の声がし、驚き肩がビクリと震えた。


まだ心の準備が出来ていないまま教室のドアを開け、麗羅チャンと海の方へ向かう。


緊張のせいか変な笑いも零れ、挨拶もまともに出来なかった。


そんな俺の挨拶に麗羅チャンはぷいっと顔を背け一応挨拶を返してくれた。


・・・・・何だかちょっぴり悲しくて涙が出そうになった。


それを隠すためかまた変な笑いを零しながら、自分の席におぼつかない足取りで向かう。

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