《MUMEI》 「私の名は、シーフォース。」 ゆっくりとした口調で龍が自分の名を明かした。 「此所まで来るには結構大変だったろう?」 「は、はぁ…。」 全てを見通しているような目付きに、 思わずどぎまぎしてしまう。 「グレイドもまさか、 助けてもらった人間が王家の血を受け継ぐ者だとは、 予想もつかなかったであろうな?」 そう言ってシーフォードは、 愉快そうに笑った。 笑うたびに足元がグラグラと揺れる。 「は!」 グレイドは膝まついて照れ隠しのように下を見つめている。 「“王家の血を受け継ぐ者”?」 俺はシーフォードが発した、言葉の意図が全く見えなかった。 するとシーフォードは、 少し目を見開くと、 まだ知らせてないのか、といった面持ちでグレイドと目配せした。 「申し訳御座いません。 何分、急な出来事で御座いましたので……。」 グレイドはそう言うと、深々と頭を下げた。 そして俺の方へ体を向けると、 ゆっくりと、 何かを思い出すような口振りで話出した。 「いいか、今から言うことを心して聞けよ……」 前へ |次へ |
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