《MUMEI》

「大丈夫だって!絶対認めてもらえるさ!」
「…仮に認めてもらえなかったらどうするつもり?」
尚はギクリとなった。

「う…まぁ、なんとかするさ」
「ホントかよ…」

俺はベッドに行き項垂れた。

「…龍也」
「何?」
「俺はなんで男を選んだって聞かないの?」

なんでお前も一緒にベッドに来るんだよ…!

「いや、別に…嫌な事だったら困るから」
「聞いたっていいのに」

実は俺、ゲイだったって言うつもりだから言わないのだ。

「ハハハ…やめておく」
「まぁ、前と似たような答えだ。お前だから好きになった…それだけ」

あっさり言ってしまった!
「…お前…」
「簡単だろ?」
「聞くまでもなかったな」
そして、二人で飯を食べた後―

「一緒にシャワーでも浴びるか?」
その時、俺は目が飛び出しそうになった!

「馬鹿ーー!!」
アパートだっていう事をすっかり忘れていた…
周りに聞こえていなければいいが…

「てかお前、帰るんじゃなかったのかよ!?」
「ん?ホントに泊まるんだぜ」

今度は布団を投げつけてやろうかと思ったが止めた。

「ハァ…何処まで馬鹿なんだか…」
「いいじゃないか」
「よくない!俺先にシャワー浴びるから、尚は待ってろよ!」

俺は急ぎ足で服を脱ぎ、風呂場に入った。

(全く…何処まで馬鹿なんだよ…アイツは!)
「…友達止まりなのかな…悪く言えば」

そして、投げやりに頭から湯をかぶって、体を洗った。

(…アイツには…なにも知らないほうがいい…)
尚は、一人更けていた。

「ふ〜…疲れた」
「龍也!」

30分後、俺が上がるがいなや、いきなり抱きついて来た!

「なんだよ!尚!」
「こんな俺を許してくれるか?」
「…尚?」

いつもと違う雰囲気だったので、少し驚いた。風呂上がりなのにこの状況ってどうなの…

「尚」
「へ?」
「とりあえず寝間着に着替えてからでいい?」

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