《MUMEI》
氷室 千秋に内緒
「最近、珠緒君つやつやしてない?」

螢さんにまじまじと見られた。


「つやつや……?」

いつもと変わらないよ?


「私生活が充実しているからかなあやっぱりー」

志雄君は僕の腕を幾度も突いた。


「でも、千秋様は最近忙しいですよ?」

そう、忙しいのだ。
だから千秋様に内緒で千守さんに会えたりする。


「忙しい……のかねー……ふ、ふはははははははははははははははは……!」

螢さんが突然笑い始める。
あれ、泣いている?

どっち?


「珠緒君、君、千秋に内緒で弟と会ってるね?」

螢さんが何故それを!


「僕の目はごまかせないよこの売女!」

ば、ばいた?
志雄君、物知りだからな。

それより、千秋様にばれちゃったらどうしよう!


「――――存分に会うといいよ?何も悪いことは無いし。俺は千秋には絶対に言わないから。」

螢さんは僕を応援してくれるようだ。


「志島ちょっとなんだよそれ!」


「渡部、耳貸せ」

憤慨した志雄君は螢さんの囁きでぴたりと治まり、笑顔になった。


「そうだね、君は存分に弟さんと愉しんでいるといいよ!




……愛想尽かされるくらいにな」

志雄君の後半は上手く聞き取れなかった。

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