《MUMEI》 親と対面そして、次の日― 俺の家はアパートからかなり遠い。 電車で1時間弱で着くぐらいだ。 「む…」 「?どうした?」 「…ひとつ、問題がある」 尚は嫌そうな顔をした。 「なんだよ、それは」 歩いている最中、ふと思い出したのだ。 「俺達、友達同士で住んでるんだって事にしないか?」 「…うーん…」 多分、そのほうが理解も早いだろうし。 「俺もそのほうがよさそうな気がしてきた…」 その20分後、俺の実家に着いた…― 「尚、準備はいいか?」 「あぁ、いいぜ…」 そして、ドアを開けた。 「た、ただいまー…」 「あら、いらっしゃい。久しぶりね…って、秋谷君じゃないの」 玄関の前で見たのは、髪の長い母さんだった。 「あ、どうも…」 「寒いから早く入りなさい」 そして、俺と尚は家に上がった。 「母さん、実は…俺達」 「何?」 母さんはお茶を用意していた。 「…い…一緒に住みたいんだ!」 もう…穴があったら入りたい勢いだぜ… 「なんでそんな事になったの?」 「…え…実は…仲がいいからであって…あの…」 尚もしどろもどろになっている… 「それならいいじゃない!」 「え?」 二人は同じリアクションをした。 母さんはマグカップを差し出す。 「それなら反対しないわ!」 (疑いもしないのかよ…) 「わかりました」 俺は尚の顔を見上げた。 「尚…?」 「俺…龍也を全力で守って見せます!」 「秋谷君…」 そして、俺達はお茶を飲み干し、母さんを後にした。 「待って!」 「母さん…?」 「秋谷君に用があるの」 俺は倒れそうになった。 「へ…?」 「龍也は…弱い奴だから…友達として、しっかり守ってやってね」 俺は涙が溢れそうになった。 玄関先でこう言われるとは思わなかったのだ。 「…母さん…」 「はい、わかりました」 そして、俺達は家に帰った。 前へ |次へ |
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