《MUMEI》 窓に目を向けたあいつの横顔は‥‥ あの日見た表情とは別人みたいで‥。 目ぇは空ろ‥。 その目ぇは確かに空見とるのに‥‥ 何も映ってへんみたいにウチには見えんねん。 ただぼんやりして‥ 流れて行く雲も‥ 飛んで行く小鳥も‥‥ 何も映ってへん。 「──マツリ」 「ぇ‥?」 菜摘や‥。 「何?」 訊いたら‥ 菜摘は黒板を指差した。 「ぁ‥」 ウチは当てられとったらしい‥。 慌てて前に出て黒板に向かう。 ほしたらあいつが見とるような気ぃして‥ 一瞬手が止まった。 前へ |次へ |
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