《MUMEI》

窓に目を向けたあいつの横顔は‥‥

あの日見た表情とは別人みたいで‥。

目ぇは空ろ‥。

その目ぇは確かに空見とるのに‥‥

何も映ってへんみたいにウチには見えんねん。

ただぼんやりして‥

流れて行く雲も‥

飛んで行く小鳥も‥‥

何も映ってへん。

「──マツリ」

「ぇ‥?」

菜摘や‥。

「何?」

訊いたら‥

菜摘は黒板を指差した。

「ぁ‥」

ウチは当てられとったらしい‥。

慌てて前に出て黒板に向かう。

ほしたらあいつが見とるような気ぃして‥

一瞬手が止まった。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫