《MUMEI》
サル扱い
《そういえば、今年の陸上クラスマッチは何に出るんだ?》


(よく覚えてるな)


俺は、陸上クラスマッチが近い事を最近まで忘れていたのに。


思い出したのは、一昨日のHRの時で、その時、それぞれが出る競技を決めた。


《…質問に答えろ》

「あ、ごめん。百メートルと走り高跳びだよ」

《高跳び?》


(あれ?そっちに反応するのか?)


普通に目立つのは百メートルの方だから、それに対して嫌味が来ると思っていたので、意外だった。


「うん。高跳び」

《お前、出来るのか?》


(どっちにしろ嫌味か)


「それがさ。何か向いてるみたい、俺。

皆に羽根生えてるみたいって言われたし」


(嘘じゃないし)


少し、得意気に語ってみた。


《…》


(あれ? 反応無しか?)


「忍?」

《確かにお前は身軽だからな》

「な、何だよ急に」


忍が俺をほめるなんて滅多にないから、少し慌てたが…


《サル並に》

「…」


忍は、やっぱり忍だった。

「お前さ、そこは俺が羽根って言ったんだから、もっと別な物にしろよ」

《サルで十分だ》


馬鹿にしたように、忍は笑った。

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