《MUMEI》
最終話
一夜明けて、俺達はというと…―

「…龍也」
この通り、尚は俺の家のアパートから離れなくなってしまったのだ…

「尚!ちょっと料理しづらい!つか、ベタベタ引っ付くな!」

俺は怒鳴っているのに、全然人の言う事を聞かないのだ。

「包丁振り回すと危ないぞ」
俺の殺気に気付いたのか、一歩下がった。

「ハァ…全く…俺の母さんがあぁ言ってくれたのはまだしも…」

ちなみに、俺の家族は母親と俺しかいない。

「…反対すると思ってたのか?」
尚は俺の肩に手を伸せた。

「い、いや…なんだって笑って許したのかなと思って」

尚は不思議そうな顔をした。

「いいじゃないか。…なぁ、龍也」
「え?」
「そろそろ…あの答えを教えてくれ」

ひとまず一息を置いた。

「俺なんかで、本当にいいのか?」
俺は呆れたため息をついて、包丁をしまった。


「馬鹿!俺にはお前しかいないよ!…その代わり…」
暗い顔をして話す。
「…宮はどうしよう」

「宮?なんでアイツが…」
「い、いやなんでもない!ほら、早く弁当の用意してとっとと大学行こうか!」
俺はそそくさ身支度をしながら、尚の前を横切る。

「…な、龍也!」
「さあて行こ行こ」

「待てよ!龍也!」


一方、宮は―


「…そっか…一緒に住む事にしたんだ」
「陽仁?どうしたの?」
既に陽仁と教室に居たらしい…


「今、龍也からメールが来てさ、尚と一緒に住むって」
「本当!?」

宮は口をあんぐり開けて驚いた!
…あご外れるぞ…

「しかし、なんだ…アイツらは仲良しだなぁ…」
「うん。私もそう思う」

俺はその頃、靴を脱ぎ、大学の中に入ろうとしていた。

「…陽仁達、なんていうかな」
「宮辺りは“馬鹿じゃないの!”とか言ってそうだな…」

思わず絵が浮かんだ…
そして、二人は苦笑した。

「は…ハハハ…」

勢いよく、教室のドアを開けた!


「おめでとう!」

「…へ」
「おいおい、こんなのアリかよ…」
宮と陽仁はにこやかに笑って許してくれた。

「…アリかよとは失礼ね…」

「そうだ!人が折角…」
「…どうも…」

そして、いつもの朝を迎えた…―

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