《MUMEI》

それは以前俺がお爺ちゃんから貰った、
ブレスレットだった。


「これは、先代のものだ。」


「先代のもの?」


「お主の祖父のことよ。」


「祖父…え…お爺ちゃん!?」


「うむ。先代は常にそれを大事そうに付けておったわ。」


そう言って、
シーフォードはチラリとブレスレットを見やった。


「そ…んな……。
だってお爺ちゃんは、いつも俺と一緒にいた筈なのに…。」


「いつの時だ?」


「確か…まだ俺が小学生の時かな?」


「ふーん…。
なら、これを貰ったのはいつだ?」


グレイドはブレスレットを持っている方の手を、
一層高く掲げた。


「たぶん…同じぐらいの時かな…。」


訳が分からず言われるままに従うと、


「やっぱりな…。」


グレイドは確信を込めたため息をついた。


「先代様は分かっておられたのだ。」


「え…?何のことですか?」


「此所からは私に話をさせて貰えないかな?」


「は!」


グレイドが一礼して、一歩後ろへ下がった。

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