《MUMEI》
‐陸‐
「‥あいつ‥」


戻って来たら‥

戸の前で偶然小坂が喋ってるのが聞こえてきた。

『諦めたらお終いやもん。‥せやから‥何枚でも書いたる。返事来るまで』

あいつ‥‥

本気なんだ‥。

本気で僕を想ってるんだ‥。

「─────っ‥」

あんな奴は初めてだ‥。

あんなにも真直ぐな奴は‥‥

初めてだ‥。

≪ガラッ‥≫

「‥!」

戸が開いたのはあまりにいきなりで‥‥

視線を逸す暇がなかった。

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