《MUMEI》 「‥えっと‥、はい、カバン‥」 小坂は拾い上げたカバンを僕に差し出した。 ほんとはここでお礼を言わなきゃならないんだけど──‥ 僕にはそれが出来ない。 「ほ、ほな‥ウチ‥ちょっとお水飲みに行って来るわ」 小坂は無理矢理な笑みを浮かべると‥‥ 僕のすぐ脇を擦り抜けて行った。 何か言いたげな感じがしたけど‥‥ 引き止める事はしなかった。 いや‥ 出来なかった。 今はその方がいいって思ったんだ。 あいつの為にも‥。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |