《MUMEI》

「──ご馳走さま」

「‥ぇ‥?」

蓋をして‥

綺麗に包み治されたお弁当箱。

「‥ぁ、うん‥おーきに‥」

新木‥

また喋った‥。

今度は‥

『ご馳走さま』て‥。

≪ドクン‥≫

あいつが喋る度に──

ドキッとさせられる。

こっちが話しかけても反応せぇへんけど‥

自分からはたまに喋ってくる。

その声はいつも透き通ってて‥‥

せせらぎみたいな感じやねん。

綺麗な声やなぁて思う──。

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