《MUMEI》

≪きゅっ≫

「これでちょっとは楽になると思うんやけど──」

「‥ハイ、ありがとうございます‥」

「──‥真冬が唯一の力持ちだったってのになぁ‥」

「これが狙いだったのかもね」

「ぁ‥?」

「真冬が本気を出せなくなれば‥脱出するのはかなり難しくなるでしょ?」

「だからわざわざ扉の分厚い体育倉庫に来るように仕組んだって訳かよ‥」

「あくまで推測だけどね──」

「確かにそうかも知れへんなぁ」

「ならどーすんだよ?」

「内側から開けられへんとなると、後は‥」

「後は‥?」

「外側から開ける他あらへんやろな──」

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