《MUMEI》
単独行動
(そういえば…)


「お前、一人なのか?」

「何人に見える?」


頼は俺に殴られた腹をさすりながら笑った。


「いや、そうじゃなくて…」

「俺、厳みたいにハーレム作る趣味無いから」

「…あれは真似しなくてもいい」


厳は気になる女の子達に積極的に声をかけまくり、いつも女の子達に囲まれていた。


その中には、厳のお気に入りの朝倉はいなかったが


小柄な石川と


少し綺麗になった松本の姿があった。


「長谷川をいじめるのも飽きたのか?」


そう言ったのは、俺では無く真司だった。


(そういえば、この二人、ライバル…になるのか?)


少なくとも、真司はそのつもりらしく、あからさまに頼を睨みつけていた。


「怖いな〜先輩」


頼は笑って、俺の後ろに隠れた。


そんな頼に、志貴は呆れていた。


希先輩は、頼が苦手らしく、俺が頼を殴ったあたりで既にいなくなっていた。


「…そろそろ行ってくる」

真司はため息をついて、ハードル走に出る為に、その場を後にした。


「あ、俺も、そろそろ…」
「あ、俺、トイレ…」


真司に続くように、拓磨と守もそそくさと、その場を後にした。

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