《MUMEI》

「お主の祖父はどのような方であった?」


「え…いつも優しくて……。
あ、俺が怪我すると凄い心配してくれて…。

とても大好きでした。」


俺が幼い頃、
よくお爺ちゃんと家の縁側で、
話をした風景が目に浮かぶ。


その時にあのブレスレットを貰ったんだっけか。


でも…


「もう亡くなりました。」


…そう、あれは十年前にまで遡(サカノボ)る。


俺は、六才。


小学校に入学したばかりの時だった。


あの日、お爺ちゃんの容態が急変した。


元々肺を患っていたのだが、
どうやらそれは癌だったらしい。


癌だと告知されたのは俺が小学校へ入学してすぐ。


既に末期だったために、病院での賢明な治療も虚しく、
……亡くなった。


その時のは俺は七才。


小学二年生に進級したばかりの時だった。





………俺の話を黙って聞いていたシーフォードはゆっくりと目を細めると、不思議な発言をした。


「実は…お主の祖父はまだ生きていた。」

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