《MUMEI》
対面
『多川君!!静かに入って来れないの?ここ保健室よ。』

『ごめん、ごめん。何か担任に5時に職員室来いって言われて、あと1時間位時間あるから、ちょっと寝させてよ。』

そう言って陽は、保健室にあるクルクル回る椅子に腰をかけた。

『今ベッド空いてないのよ。ごめんね。
…って多川君病人じゃないんだし、その椅子で充分でしょ?』

北村は、陽の不満そうな顔を一瞬見たが、すぐに書類を打ち始めた。

椅子でクルクル回りながら、保健室の中を見渡すと明らかに病人ではなさそうな紗南が陽の目に入った。

陽は、ソファーで横になる紗南を指差した。
『先生。あの人病人じゃないでしょ?ソファーなんかで寝てるの。』

『ソファーは早いもの勝ち。』

真剣に書類を作っている時、北村は少し冷たい。
そんな北村を見て、不満を押さえきれなくなった陽は、紗南の毛布に手をかけ、取り上げようとした。

『何すんだよ!!』
紗南は、うずめてた顔をあげて陽を睨んだ。

『…あぁ!!文系クラスの金井さん!!』

『…は?つうか、あんた誰なの?』

体は起こしたものの眉間のシワが戻らない紗南に、陽は紗南の前にちょこんと座ってにっこり笑った。

『あらぁ〜。保健室の常連さん同士なのに、会った事無かったのね。この子は多川陽君よ。陽は紗南さんの事知ってるようだけど』

北村は手を止め、少し驚いた。そして陽の名前を聞き、紗南の眉間のシワは少し緩んだ。

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