《MUMEI》 カラオケ打ち上げは、去年と同じカラオケボックスだった。 俺は、去年覚えた曲を、去年と同じように歌って、終わろうとしたが、皆が、特に志貴がそれを許さなかった。 「祐也〜一緒に歌いましょうよ!」 「お、俺、歌えないよ!」 「大丈夫大丈夫!」 「無理だよ、志貴!」 「やってみないとわからないでしょ? サビだけ? ね?」 「う…」 そして、俺は、サビだけ参加した。 その後、真司の時も、守の時も参加させられた。 そして、半分嫌がらせを兼ねてか、拓磨はラップを歌おうと誘ってきた。 ーやってみて、気付いた。 (俺…ラップ向いてる、かも) その証拠に、拓磨は歌い終わった後、俺を見て舌打ちしていた。 「すごい、祐也。ね、もしかして、英語のラップもいけるんじゃない?」 「どうだろう? 曲知らないし」 「じゃあ今度持ってくる!」 「あ、うん」 どうやら、やっと置物になっていたラジカセの出番が来たらしい。 そして、それを素直に喜べる自分が ちょっと、嬉しかった。 人生で二回目のカラオケを楽しめる日がきたことも すごく 嬉しかった。 そうして、三時間が、あっという間に過ぎた。 前へ |次へ |
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