《MUMEI》
志穂さんに相談
「そういえば、今年は志穂さん達呼ばなかったんだな」

「うん。志穂さんは、祐と葛西先輩の相談にのってるから」

「それって…葛西先輩の進路の事?」


俺は、ずっと落ち込んでいる葛西先輩の顔を思い浮かべた。


志貴は、黙って頷いた。


「だから、希は今日はうちに泊まるの。

慎…さんは、祐希、の部屋」


理解はしていても、志貴はやはり志穂さん達の関係に抵抗があるらしく、後半、少し声が小さくなった。


「そっか」


(元気になるといいな)


葛西先輩は、普通にいい先輩だから、俺は素直にそう思った。


「ま、志穂さんに任せれば大丈夫だと思うけどね!」


(今回は難しいんじゃないかな?)


そう思いながらも、俺は頷いて、志貴と笑顔で別れた。


翌日。


(やっぱりな)


葛西先輩は、やはり暗い顔をしていた。


しかし


何故か、隣の祐の表情が明るかった。


(何がそんなに楽しいんだ?)


そう思えるほど、何かを確信したような表情だった。

そして


志貴と希先輩も、祐と同じ表情をしていた。


その謎が解けたのは、中間テストが終わった頃だった。

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