《MUMEI》

「──ねぇ」

「ぇ‥?」

顔を上げたら‥

目の前に新木の顔があってビックリした。

「な‥何‥?」

「行こう」

ちょっとだけ笑うて‥

新木はウチの腕を掴んだ。

「ぇ‥!?」

何がどうなってるんやろ‥。

華奢なくせして‥

強引な位にウチを引っ張って行く。

「なぁ、ちょっと待って‥もうすぐみんなも来てまうし‥」

そう言うたけど‥

新木は聞いてくれへん。

「新木っ、ちょ‥っ待っててば‥」

何べん言うても新木はただウチを引っ張って行くだけ。

大人しく付いて行くしかあらへんかった。

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