《MUMEI》 甘い二人「ホイ、祐也。弁当」 「ありがとう」 『昼休みはできるだけ雅樹と一緒にいて、手伝いたいから』 そんな理由から、俺は朝、下駄箱で待ち合わせをして、祐から弁当をもらう事にしていた。 「葛西先輩、おはようございます」 「あぁ、おはよう」 もちろん、そんな葛西先輩は今日も普通に祐の隣にいた。 「そういえば、祐也は明皇の文化祭に行くのか?」 「行くよ」 明皇の 柊の学校の文化祭は来週の土日が一般公開だった。 「ちなみに、土曜日?日曜日?」 「両方」 土曜日は、希先輩・志貴・サッカー部の三人と 日曜日は、演劇部員と行く事に決まっていた。 日曜日は、明皇演劇部の公演を見学に行くのが目的だった。 「そっか。俺と雅樹は日曜日一緒に行くんだ。 土曜日は、雅樹練習試合だから」 「実は、日曜日行くのは、葉月さんからの課題でなんだ。 『文化祭を楽しむ人々を撮るように』って」 「大変ですね」 俺の言葉に、葛西先輩は意外な事に首を横に振った。 「空手もカメラも大好きだから」 「俺も、だろ?」 「…」 俺は、甘い雰囲気になった二人を置いて教室に向かった。 前へ |次へ |
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