《MUMEI》 「……。」 シーフォードのあまりに非現実的な言葉に絶句してしまった。 シーフォードは俺の顔を見て少し苦笑すると、 更にこう付け足した。 「お主の祖父は人間界で亡くなったあと、 この世界で二年間生きている。」 「嘘だ…。 だって俺は見たんだ。 ちゃんとこの目で…。 お爺ちゃんの葬式を! ちゃんとお爺ちゃんが火葬されたの見届けたんだぞ!!」 「生きていたんだよ…」 興奮気味の俺をよそに、シーフォードは至って冷静だ。 「アレは幻だ。」 「…幻……?」 「そう。全て幻。 ジレンダにとって、 人間に錯覚を起こさせることなど容易いことよ。」 「ジレンダ?」 「ああ、すまない。 ジレンダとは、お主の祖父の真の名よ。」 「え…。」 「これも嘘だと言うのなら、 この世界を調べて見るといい。 墓石があるから……。」 その言葉にピクリと身体が揺らいだ。 「…墓石?」 「そうだ…。」 嫌でも今ある現実を受入れざるを得られなかった。 前へ |次へ |
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