《MUMEI》

「でも…じゃあ…母さんと父さんは?

…幻だったと言うのか?」


俺が学校でイジメられていても、
見向きさえしなかった両親。


だが、俺をここまで育ててくれた親に違いない。


…幻…なんて嫌だ。


「幻ではない。」


思いが通じたのか、
両親は幻では無かったみたいだ。


自然と安堵のため息が出ていた。


しかし次の瞬間、
身体が凍り付くことになった。


「だが、お主の本当の親ではない。

あくまで、育て親だ。」


「…ど…うして…。

本当の俺の…親…は……?」


気絶しそうだった。


俺ってこんなにも恵まれて無かったのか。


自分の不運を呪わずにはいられなかった。


シーフォードは、
言いにくそうに大きな瞳を瞼の中に隠すと、


「お主の母親は、
お主を産んで…間もなくお亡くなりになられた。

父親は、遠出の時に何者かに……暗殺された。」


「暗殺された?!」


「左様。
それでジレンダは悟ったのだ。

この世界は危ないのではないかと…。

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