《MUMEI》

「‥‥‥ゴメン」

やっと僕の口から出たのはその言葉だった。

でも‥

小さ過ぎて聞こえなかったかも知れない‥。

だけど──

「何にも謝る事あらへんよ」

帰ってきたのは‥

思いがけず優しい声だった。

軟らかくて──

どこか安心する声音。

「なぁ‥」

呼びかけられて横を向く。

小坂は斜め上を見つめて眩しそうに目を細めた。

「ウチと‥友達にならへんか‥?」

小坂がそう言ったのを‥

僕はハッキリと聞いた。

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