《MUMEI》 怒りの鉄拳!みゆきは唇を真一文字にして、腰を動かした。 「どうしたみゆき、きついのか?」 みゆきは無視した。 (こいつ最低の男だ) しかし強がってもいられない。凄い振動だ。早く何とかしないと危ないかもしれない。 「ねえ、医師免許剥奪されたいの?」 「みゆき、そういう生意気なこと言うと強にしちゃうよ」 「きょう?」みゆきは顔をしかめた。 「今は弱なんだよ。弱で腰浮かしてるくらいだから、強にされたら悶えちゃうだろうな」 みゆきは心底激怒した。 「あなた、地獄に落ちるわよ」 「じゃあみゆきチャンは天国に行かせてあげるね」 ウィーンという音がさらに大きくなった。強にされてしまった。 「あっ…」 まずい。刺激が凄い。かなり強烈だ。みゆきは焦った。 「警察に言うわよ」 「何て言うつもりだ。イカされちゃったって言うのか?」 みゆきは憤りに震えた。 「貴様…」 「裁判でおまえが昇天したか昇天しなかったが焦点になるんだ。ハハハ。今の笑うところだぞ」 みゆきは血涙が出そうな目で睨みつけた。 「今すぐやめたら許してあげるわよ」 「バカだなみゆき。かわいく哀願して許してもらわなきゃいけないのはおまえのほうだろ?」 「あんたみたいなバカ男におまえ呼ばわりされる筋合いはないんだけど」 不破野は電マを左手に持ち替えると、サイドに回り、右手でみゆきの胸やおなかを円を描きながらソフトタッチ。 「嘘!」 「W攻撃は効くだろみゆき。生意気な態度取るからだよ」 みゆきは弱気な顔になってしまった。目が泳ぎ、口が開く。 不破野は先手必勝。 「みゆき、さあプライドを捨てて哀願してごらん。嫌いな男にも甘えちゃうのはおまえの得意分野だろ?」 カーッと怒りと恥ずかしさでみゆきは真っ赤になった。 これで絶対に哀願はできなくなった。逃げ道を塞がれた。 「くうう…」 電マだけでもきついのにソフトタッチが微妙に快感を高める。 悔しいなんてものではない。なぜ嫌いなのに体が反応してしまうのか。 情けないったらない。 みゆきは歯を食いしばって耐えた。 (負けるものか!) せっかく好きな人ができたのに、こんな愚劣な男に初めてを奪われてなるものか。 みゆきは必死に耐えた。 「みゆき、本気でみゆきの弱点を攻めていじめてもいい?」 「うるさい!」みゆきは怒鳴った。 「あっそういうこと言うなら、こういうところ攻めちゃうよ」 「あ、あああ!」 みゆきはあまりの快感に変な声を出してしまった。 「さあどうする。みゆき。ほらほらほらあ!」 「あっ…」 ダメ、そんな、そんなことしちゃダメ! みゆきは慌てた。耐えられない。 (どうしよう!) 「みゆき、きょうは哀願しても容赦なく意地悪しちゃうよ」 みゆきは唇を噛んで耐えた。 「みゆき、観念して、あんあん乱れたほうが楽だぜ」 限界だ。万事休すか。 (ダメ、どうにもならない、悔しい、悔しい…) 落とされる。 落ちてしまう。 落ちる。 (こんなバカ男になんか絶対やだ!) だれか、だれか助けて…。 そのとき、バンとドアが開いた。 「何だよテメー?」 突っかかる不破野にスーツ姿の男はいきなり顔面パンチ! 「がっ!」 吹っ飛んでガシャーンと凄い音がした。 「赤坂さん?」 目を丸くして見ているみゆきを、女性の刑事が素早くほどいてくれた。 「大丈夫?」 「ありがとうございます。助かりました」 シーツにくるまれながら、みゆきはお礼を言った。初エクスタシーは守られた。 赤坂刑事は凄んだ。 「署まで来てもらうぞ」 不破野は頬を押さえながら睨み返した。 「刑事がこんなことしていいのかよ?」 「医者がこんなことしていいのか?」 そう言われると、不破野は下を向いた。 「連れてけ」 強がる不破野は、赤坂に言った。 「あんたの妻が美人だといいな」 赤坂の右ストレートが口に叩き込まれた。 「ぎゃっ…」 みゆきは目を見開いた。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |