《MUMEI》 「申し訳御座いませんでした、陛下!!」 二人して同時に頭を下げて来た。 「え…いや、父さん、母さん…何言って……。」 「いえ、私は陛下の母親では御座いませんっ!! 私は、セビアと申します。」 「私はダルクと申します。」 「え……ぇえっ!!」 もう、訳が分からない。 「この二人に頼んだんだよ、ジレンダは。」 再びシーフォードが口を開いた。 「そして奴が死ぬ直前、私を尋ねて来た。 恐らく分かっていたのだろう。」 「まさか……お爺ちゃんも……暗殺されたんですか!?」 「……うむ。」 シーフォードの瞳が、 悲しげに揺れた。 「…ジレンダは、こう言って来よった。 “もし私がこの世からいなくなったその時は、 少しの間この世界に来て、 この世界を守ってくれないか?”と。 当然、私は断った。 幾ら奴とは長い付き合いだといえ、 海から離れることは私にとって、 相当な負担となる。」 「海? もしかして…海に住んでいたのですか?」 「中々察しがよいな、お主。」 シーフォードは少し顔を下げると、 「すまない。言い忘れていたな。 私は海の守護神だ。」 そう言い放った。 ああ、だからか。 この部屋に入った時から漂うしょっぱい香りは、 海水の匂いだったのか。 しかし、 海の守護神がこのような一滴も水が無い場所にいて、 果たして大丈夫なのか? 前へ |次へ |
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