《MUMEI》
‐茉莉‐
『トモダチ』て言葉を繰り返してから‥

新木はまた黙り込んでもうた。

「ぁ‥、嫌やったらええねんで‥? ただ‥」

「ぃゃ──」

「‥ぇ?」

「いいよ」

澄んだ声で答えが返ってきた。

それがあまりに突然で‥‥‥

「‥ホンマに‥?」

思わず訊き返してもうた。

ほしたら新木は小さく頷いてくれた。

でもそれきり会話はのうなってしもて‥‥

ウチはそわそわしながら新木の横顔を見とった。

目ぇ閉じて軽く俯いとる姿はまるで──

王子様みたいに見えた。

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