《MUMEI》

◆◆◆

結局無理矢理任されて籠に桃を集めたはいーけど‥

「おーい」

あいつどこ行ったんだ‥?

何べん呼んでも返事がねぇ。

先に社に戻るか‥。

籠を抱えて石段を上がる。

「お疲れ様(微笑)」

「!?」

いきなり後ろから声がして籠を落としかけた。

「ごめん、びっくりさせた?(苦笑)」

「お前‥今までどこ行って──」

「ちょっとそこまで、ね(微笑)」

「お前やる事あるって言ってなかったか‥?」

「言った──かも」

「‥‥‥‥お前‥」

嵌めやがったなこいつ‥。

≪にこっ≫

「取り敢えず──その桃でも食べましょっか(微笑)」

「──────‥」

呆れたけど口に出しては言わなかった。

たまには悪くねぇなって思ったから──。

◆◆◆

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