《MUMEI》
「なんか食いもんくれよ!兄ちゃん」
カーテンの隙間から眩い朝日が差し込み、俺の顔を照らす…
都会に来て最初の1日を終え、新しい朝を迎えた。
昨日は大変だったなぁ〜5時間も皿洗いして疲れたおかげで俺は死んだように眠った。
「腹減った…」
部屋を出ると、下から香ばしい匂いがして俺の食欲をかき立てた。
リビングではリーズさんが朝食の用意をしていたが…
「おはようございます、美味そうな匂いですね…」
「そう?ま、鳥を丸焼きにしてるだけよ」
確かに料理と呼ぶには程遠く、ただ串に差した鶏肉を直にあぶっているだけだった。
「よし、焼けたわ」
皿の上に盛り、水洗いし切ったレタスを添え、パンを配った。
「いただきます」
うーん、リーズさんってちゃんと料理できるのかな?
「言っとくけど、アタシほとんど料理できないから」
予感的中っすか、かく言う俺も料理はからっきしなんだけど
「食べたらその爆発した頭直して、勧誘行くわよ」
爆発…!?
そう言われて頭を触るといつもより髪が多いような感触がする。
リーズさんが手鏡をサッと俺に向ける、そこにはアフロのような寝癖の頭が写っていた。
それから、一時間ほど俺とリーズさんは二手に別れて、勧誘を行うことにした。
「いい?一時間経ったら店の前に集合だけど、もし1人も連れてこなかったら…」
その先は言わなかったが、容易に想像はできた。とにかく俺は片っ端から声をかけたが、ほとんどが断られ途方に暮れていた。
「はぁ…後10分しか無いな」
焦りと恐怖、だが街中を歩き回ってほとほとに疲れていた。
大通りを抜けて、裏路地に入り腰を落とす。
…リーズさんはどうなんだろなー
いや、他人より自分の心配しないと…
うなだれてるとその時、小さな足が目の前に現れた。
「あの…」
見れば、本当に14、5歳位の女の子と弟だろうか、女の子より少し背の低い男の子が立っていた。
「あの…大変申し訳ないのですが、私達もう3日間何も食べてないんです」
乞食…
裕福な都会の裏の姿だった、こんな小さな子が
「あの…それで」
「なんか食いもんくれよ!兄ちゃん!」
「こら!アルっ!」
「…悪いが、俺も持ち合わせて無いんだ、ただ…」
「遅かったわね、勧誘は上手くいった?」
俺は、あの姉弟を連れてきてしまった。
「ふーん、随分と若いのね…」
「は、初めまして、シーラと申します、こっちは弟のアル」
「2人を雇いたい、頼む」
駄目を承知で、頭を下げた。
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