《MUMEI》 母さ…いや、セビアは、俺の隣りに体操座りの格好で座り込むと、 「陛下は立派な王になれますよ。」 そう言って、微笑んだ。 「どうして…?」 「痛みが分かるではないですか。」 「痛み?」 「はい。 陛下は、 レギジオス様の痛みを自分のことのようにお悔やみになられた。 それで良いでは御座いませんか。」 「そうか……。 ごめん…急に抜け出したりして……。」 「いえ、無理もありませんよ。 あまりに急な出来事で、混乱なさったでしょう?」 俺は、 セビアのその言葉に、 確かに、と頷いた。 「それに、 謝らなくてはいけないのは、 私の方です。」 「何故?」 「ジレンダ様の命令だとはいえ、 陛下に真実を明かさずにいた事……。 誠に申し訳御座いません!」 そう言って、深く頭を下げた。 「別に、そんなの気にしてないよ。」 「しかし…」 「だってセビアは、 自分の子でもない俺をここまで育ててくれたんだろ?」 「……はい。」 「むしろ感謝しているんだよ。 セビアとダルクに……。」 前へ |次へ |
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