《MUMEI》

虚ろな視線を声がした方へ向けると、見たことある初老の軍人が俺を見下ろしていた。

「………大佐?…どうして此処に?」

それはベトナム時代からの恩人である大佐だった。


「なぁに……部下の危機と聞いたものでな…。

私自らが指揮をとって駆け付けたのだよ。」

そう笑いながら、大佐は肩に担いだ銃を足元に置いた。

我が国の銃ではない…。

「証拠を残さぬよう、共産圏の銃を使ったが、私には性に合わなかったよ…。」

豪胆な笑みを浮かべる大佐は、胸ポケットから煙草を取り出し口にくわえた。

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