《MUMEI》 数年後数年後。 オレは無事、現役合格を果たした。心理学を専攻して、芸能活動とちゃんと両立させている。 それからあの有理と早苗さんと聡理と住んだ部屋を出て、一人暮らしを始めた。 本当は環さんとの同棲も考えてたけど、大学生になり、大人の一歩を踏み出すためにはまず一人暮らしだ!……という安直な考えからそれはやめた。 早苗さんはオレを追い出すような形になってしまい、申し訳ないと言ってきたけど、オレは一度もそれを責めようと思ったことはなかったからとても驚いた。 確かに寂しくなった。 もうたったひとりの弟であり、家族である有理の面倒をオレが見ることはないのだと思うと、かなりの衝撃と脱力感がオレを襲った。 でも、それでも有理が幸せならいいと思った。 オレ達はふたりでひとつの存在。だから有理が幸せならオレも幸せだし、有理が幸せになれたのならオレも幸せになれるはず。 そう信じたい。 それにしても有理は酷い弟だ。立って歩くようになった聡理は、もちろんしゃべるようにもなった。 だけど双子の意味がわかるはずもなく、父親がふたりいることに衝撃を受け、一時期有理やオレを見るたび泣いていた。 そのせいでオレは染髪を無理やりにさせられる羽目になった。 月岡さんも、「自然さも売りだったんだけどなぁ」と呟いていた。 よって今は茶髪だ。 環さんが髪が傷まないようにトリートメントを薦めてくれて、なんとか納得した。 ファンの人達も突然のイメージチェンジに驚きつつも、受け入れてくれてほっとしている。 前へ |次へ |
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