《MUMEI》

「おはようさん。」

武丸先輩は恰好良い。
両耳にダイヤのピアスをしていて、更に右に二ツ、左に一ツ空けていた。

武丸先輩は私の額を挨拶する度に叩く。
私が自作カットをして前髪パッツンになったのを気にしているからだ。


「……さんです。」

「お、いじけるなよ。」

私をからかうからだ。
額を叩くのを止めないのは武丸先輩なりのスキンシップだからか。

「いじけてないです。」

気にはするけど。


「可愛いよデコ。」

武丸先輩は私の額に唇を付ける。


「……酔ってますね。」

アルコールを飲んでよく働けるものだ。


「ふ、内緒な?」

武丸先輩は恰好良い。
長い人差し指を唇の前に置く仕種とか、私の額を一番乗りに鳴らす長い人差し指とか……ダイヤを弄る人差し指とか……素敵。

武丸さんは煙草の香りもする。
私が嫌煙なのを遠慮して吸わないが一度歩き煙草しているとこを見た。

道徳的に頂けない吸い殻ポイ捨て、ピンと弾けた人差し指が素敵で
私はこっそり路面に転がるそれを持ち帰り、薬指と一緒に瓶詰にした。

煙草の香りを嗅ぐ度に小指は悪趣味だ変態だと喚くので絆創膏を巻いてやった。
いい気味。

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