《MUMEI》

初めて顔を合わせた時も‥

こいつの瞳に釘付けになった。

髪の色より少し暗めの茶色い瞳。

「アラキ──‥」

「‥ぇ」

小坂が林檎みたいに頬を染めて僕を見てた。

「ご‥ごめん」

そう言って僕は景色の方に視線を戻した。

会話がなくなって‥‥

何だか気まずい感じがする。

でもどう切り出していいのかが分からなくて‥‥

何も言えない。

小坂は今‥

どんな気持ちでいるんだろう──‥。

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