《MUMEI》
屋上と二人
 白い視界  一筋


    
     緋

 悲鳴は?

  形相は?





四階の屋上から橙に沈んで行く空を見た。


俺の視界が全て橙になっていた。

コンクリートの寝心地の悪さに顔をしかめる。

身体に若干の疲労を受け、伸びをする。
背骨がビキビキ言った。



「うわ、もう5時 アヅサ!どうして起こさなかったんだよ!」
時計を見ながら責め立てる。


「俺がどんなに言ってやっても聞かなかっただろう?
…多分ね」
こいつ、俺を起こす気なんか無い。アヅサとは、そういう人間だ。
不敵に無敵な笑みを浮かべている。

「樹の起こし方は決めているんだ、
 首に一筋、切り付ける緋いキス」
嘘か真か平淡な声のトーンで言ってくれた。

頭が痛い。ずっとこんなのと付き合っていかなければならないなんて、
溜息が洩れていた。

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