《MUMEI》

「はぁ‥」

訊いてみたらて言われても‥‥

訊けたら苦労せぇへんよ‥。

でももう夏休み始まってまうし‥。

もういっぺん溜め息をつきかけた時‥

扉の開く音がした。

「──やっぱりここにいたね」

「‥新木‥」

ポカンとしとると‥

「元気ない‥?」

新木はそない訊いてきた。

「ぇ‥、ううん」

ウチはそれしか言えへんかった。

ホンマは訊きたい事あったんやけど‥

無理やった。

やっぱりウチ‥

意気地なしやな‥。

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