《MUMEI》

「───‥、──」

散々捜し回ったけど‥

あいつの家は見つからへんまま‥

結局陽が落ちてもうた。

辺りが暗いせいで‥

余計に捜しにくい。

でも‥

届けるんは今日やないとアカンねん。

今日は木曜日やから。

いつもこの曜日に届けて来た。

せやから‥‥

「? あれ‥」

あっちにも家立っとるみたいやけど‥。

街灯の明かりをたよりに──

その家の前に来た。

「‥ぁ」

『新木』‥

表札にはそう書かれとる。

「‥ここや‥」

やっと見つけた‥。

≪コトン‥≫

郵便受けがあったから‥

そこに封筒を入れて‥‥

それから一目散に家に向かって走った。

あいつに見つかってまうような気ぃしたから──。

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