《MUMEI》

「おかしいな……確か、何かをしようと思って家を出たのに……う〜ん…思い出せないなぁ。」


出来杉さんは、訳も分からず辺りを見回しているだけだった。




「そう………。」


私は呟く――…。



私は、その後に『良かった…』という言葉を続けることができなかった…。



私の心に、99%の安堵と……1%ほど残念に思う気持ちがこみ上げてきたから…。



彼が人殺しにならずに済んだことに安堵を――…



つい先ほど、彼が打ち明けてくれた愛の告白まで忘れてしまったことに、少しばかりの落胆を――…



…私は感じていたの……。

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