《MUMEI》

俺は梯子を使って屋根から下りた。



 白い包帯が、はためく

 橙に輪郭がぼやける

…肢体、 …死体?

夕日の光が人を象っている。顔は包帯で両目が見えていない。



歩いた軌跡のように、衣服が点々と続いていた。


今更だが、彼は顔の包帯しか身につけてない。

違和感は無かった。まるで、そうであることが当たり前のようだ。

薄い色素なのか髪まで光に溶けていきそうだ。


白紙に夕日を映したような肌。

フェンスの無い屋上で爪先を延ばし平均台のように縁を渡っている。

 俺の立つ屋上が生、
 四階下の校庭が死、

何もかも 囚われるものが無いように

羽ばたいた

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