《MUMEI》

 違う、
「待って!」
咄嗟に胸元まで抱き寄せる

   バチン



静電気が伝わる。
触れてしまった神罰か?

近くで触れ、初めて存在している生物と思い知らされた。
抱き寄せた肩に力が入る。


死体と肢体の間、肉体が生命保つギリギリの姿。
鎖骨、腕、肩、肋骨からくっきり骨格が伺える。

力無く、仰向けに俺の胸に頬が付いている。

包帯の隙間から同等に白い鼻筋。その下に口が。唇が緋い、
否、肌がそう錯覚させているのか。
肌と似た白い歯の裏にピンクの舌。

此処に抱き寄せてるのは、人間?

「………名前は?」
確かな証拠を求めて名前なんて全く無意味な事を尋ねてしまった。


緋が何やら形どる。
「……た…キタ……」


たきた……、滝田?

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