《MUMEI》
「頼りにしてるわよ」
「はい、これお弁当です。」
明朝、俺達は出発の準備を整え北西の森へ向かった。
メンバーはリーズさん、俺、アルバートさん、アル。
シーラちゃんはお留守番だ。
「師匠!なんだかワクワクするっすね!」
アルは遠足気分で大はしゃぎだ、まぁわかる気もするが…
今日は雲一つ無い青空で、森へと向かう道にはまだ桜が咲き誇り、妖精を捕まえに行くというよりもピクニックや花見という感じがする。
(探検隊って風な面子でもないよな)
魔術師に自分でいうのはなんだが平凡な少年、腹話術師に子供…
リーズさんが魔術師っていうのも信じられないんだよなぁ

などと考えているうちに、森の入り口へ辿り着いた。
「さてさて、こっからは旅人も寄らない未知の世界よ、魔物も出るから気合い入れてこー」
軽いノリでリーズさんは言うが、実際に魔物とかち合って勝てる人間は少ない。大抵は逃げるか追い払うための道具を使うかだ。そんな魔物がわんさかいる中を歩くのは正直気が重い…
「おー!」
アルも元気に腕を上げる、一番大人だと思ってたアルバートさんまで、ノリノリだった…
俺は倉庫にあった古びた剣を武器として持ち、森へと進んだ。



さっきまでの晴天は生い茂る巨大な木々に遮られ、森の中は先の見えない真っ暗な空間になっていた。
「本当に妖精なんて見つけられるのかよ〜」
「口動かすより目と足を動かしなさい!」
しかし、歩いても歩いても同じような景色が続き疲労だけが溜まっていく。
妖精の影も形も見つけられないまま、1時間半程が経過していた。
「む〜…」
「見つかりませんね、少し休憩しましょうか」
みんな、木々の根に腰を降ろす、俺も地面から盛り上がった太い根に座ろうとした。
その瞬間
「ッ!伏せて!」
突然アルバートさんが叫び、俺はとっさに身を屈める、アルバートさんは腰に携えた細剣を抜き、一閃。
俺の真後ろに現れた亜人種、ゴブリンの脳天を貫く。
ゴブリンはこめかみから紫色の血を噴き出しその場に崩れる。
「あーあ、魔物よりタチの悪いのに捕まっちゃったわねー」
「領域だったようですね、囲まれてますよ」
ちょ、2人共なんでそんなに冷静なんだよ…
「師匠!あの必殺技見せてくださいよ!」
げっ、アルめ余計なことを!
「必殺技…?頼りにしてるわよ!」
こうなりゃヤケだ、俺は古びた剣を抜き構える。
ゴブリンの群れの一匹が飛び出す、それが戦いの合図となった

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