《MUMEI》

「っと、もう行くわ!いってきます!!」

靴をスリッパを履きのまま翔は家を飛び出した。

「いってらっしゃーい!ドーナツよろしくね〜ん!!」
春香は手を振りながら兄を見送る。

「もう、十五分しかねーじゃねーかよ。」

愚痴をこぼしながらも、翔は全速力で学校へ向かって走る。

―残り時間約五分、十字路を通り抜けるまさにその時だった。


『セレナ』に出会ったのは。


「ドン」

左から何かがぶつかる。

翔は背中から地面に落ちた。

「いってぇ〜」

腰を摩りながら翔は言う。
「....。は?」

『何か』が翔の上に乗っかっている。

すると翔に乗っかっている『何か』が翔に言った。

「何アンタ?学校に行く邪魔しないでくれる?」

その『何か』は少々冷たい口調で言った。

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