《MUMEI》
「命の恩人だから見逃してあげるわ」
「いやーっ!離してよ!」
ルシスはリーズさんにがっちり捕まえられて、じたばたともがいている
「アンタを捕まえて戻るのがアタシ達のし・ご・となのよ!」
「うぅ…いい人達だと思ったのにぃ」
ルシスはガックリとうなだれた、しかし、いざこの妖精を捕まえて差し出すというのは可哀想だよな…
「でも…」
リーズさんはパッとルシスを離した。
「命の恩人だから見逃してあげるわ」
パタパタと羽を羽ばたかせ、ルシスはふわりとアルバートさんの肩に乗った。
「人間には興味あるけど、見せ物になるのは嫌よ。でもあなた達は乱暴なゴブリン達を退治してくれたし」
ルシスが何もない場所を軽く指差すと、ぐにゃりとその場が歪み穴が開いた。
「はい、出口まで送ってあげるわ、行きましょう」
穴の先には、既に日も落ちた真夜中の街が見えた、俺達は穴を通って森を抜けた。
店の前では、シーラちゃんが心配そうに俺達の帰りを待っていてくれた
「皆さん!戻りが遅いから心配してました」
「ごめんねー、1人で待たせちゃって」
アルバートさんの帽子に隠れていたルシスが出てきた。
「こんばんは♪わたしルシスって言うの」
「わぁ、妖精さん捕まえられたんですね」
「ん…やっぱり捕まえて見せ物にするっていうのは可哀想でしょ」
リーズさんは残念がっていた、これで最初の仕事はパァになるからだ
「はぅ…初仕事が」
「まぁまぁ、それより夕飯の支度できてますよ、よかったらルシスちゃんも食べていってね」
みんな店に入って行く、リーズさんも肩を落とし重い足取りで店へ入って行った。
「…待って」
不意にルシスちゃんに声をかけられた
「これ、あげる」
小さな手には、種があった。ただの種とは違い虹色の光沢を放つ変わった種だ。
「これは?」
「魔法の種よ、ちゃんと育てれば願いを1つ叶えてくれる実を付けるの」
手に取ると小さな魔力の躍動を感じる…
「その…これでわたしの代わりにならないかなぁ?」
「ありがとう、なんとかしてみるよ」
確かに種を受け取ると、ルシスちゃんは笑って店に入っていった。
初めての仕事と冒険の1日が終わろとしていた。
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